適正な認知負荷について考えてみる。
- monobio
- 2020年12月10日
- 読了時間: 4分
更新日:2024年6月3日
人の心地よいと感じる感覚は認知負荷に関わりがあるみたいですが、認知負荷が少ないことだけが美しさの証明にはならなかったりもします。
真っ白な部屋の中で真っ白で真四角な家具だけしかおいていない部屋を想像してみると
とても居心地がよいとは言えないと思います。
家と言ってそれがすべて真っ赤で特徴的なオブジェのような家具しかないと言われると、
そんな空間には1時間と居れないんじゃないかなぁと思います。
結論ですが
適切な認知負荷は心地よい刺激を誘引する
ということです。
僕らの脳は視覚の処理に神経回路の7割くらいを使っているそうな。
だから目を短時間つぶったり、自然を眺めるだけでもリラックス効果は高いと
いわれています
そんないつも見ている物から入ってくる情報が多すぎると僕たちの脳はその認知に
多くのリソースが必要になり、負荷が高まるなんてことがわかっています。
休憩時間にスマホゲームとかは逆効果になる、みたいなことは最近メンタル関連の書籍だと
よくよく書かれる様になってきましたね。
ストレス社会なんて言われる昨今ですが、僕たちの脳が負荷を感じやすくなってしまったのはなぜだろう、様々な原因があると思いますが、認知負荷の観点からいうとこんなことが挙げられるそうな。
科学や技術の進歩に対して人の脳の進歩が追いついていない
ということ。
脳の構造的進化や遺伝的進化にはとても長い時間がかかり、とくに現在の社会では自然選択的に淘汰が起こりにくいので生存本能と関わる遺伝的進化が起こりにくい現状にあるそうな。
つまり、僕たちの脳はまだ動物的な要素を多く残しており、自然的ではない知覚対象に負荷を感じやすいのではないか・・・という説ですね。
科学や種々の技術進歩は著しく、日々新しい情報や科学的な発見、新しい技術が生まれ続けていますし、その速度はクラウドやAIその他諸々の集合知に伴ってより早くなっていくと言われていますよね、そんな目にする情報量や、あるいは建築や内装などの技術的進歩が
本来の自然性とはかけ離れていることで脳が本来発揮すべき生存本能とはかけはなれた脳のリソースが多すぎることで僕らの脳は疲弊している そんなところだったかと思います。
自然的な要素、色味でいえば、緑、青、茶、白、灰、に自然なグラデーションがかかっていることが認知負荷が低くなる要因になったり、それが植物、石、水、空、雲、などの自然的要因と直接結びついているとより脳が処理しやすい形になっているということですね。
逆に赤色、黄色、なんかは火の色と連想、関連付けされやすいため、生存本能てきに認知負荷を高める要因になるとか、
https://www.ieice.org/publications/conference-FIT-DVDs/FIT2013/data/pdf/J-045.pdf 【色とサイズの誘目度が視覚探索時の知覚負荷に与える影響について】
の論文でも色のサイズと誘目度、つまり大きさと派手さみたいな観点において大きさと、色味はそれぞれ独立して知覚負荷に影響を与えることが書かれているみたいですね。
認知負荷がもつ良性に注目する。
認知負荷はただただ悪いものではなく、うまく利用することで空間デザインにプラスになる刺激が与えられるとぼくは考えます。
認知負荷には誘目度との関わりがあることがわかっています。
何が言いたいかというと、誘目対象が、自然的な知覚対象、、つまり植物なんかの場合
空間における認知負荷は適切に保たれるのではないかと考えます。
あくまで一例ですが・・・
例えば照明の明暗によって空間にメリハリの付いた状態で照明の明部分に植物が自然な形で配置されていることで、誘引先に自然物があり、視覚負荷を自然に和らげることに繋がるのではないかと考えています。
また空間全体のバランスと調和を保つためにも、誘引対象が多すぎることで、認知負荷を高める要因にもなるので人の周辺視野を含めた200°の中で有効視野内に1つ誘引対象物があったら周辺視野内で最大2つ程度の配置が限界ではないかと考えます。 (これにエビデンスはなく、あくまで僕の感想ですが。)

そんな感じで、空間に対する適切な認知負荷は、その認知負荷の対象が自然と誘目効果を
発揮して、その対象が人工的ではなく、自然的なものであることで人の認知に心地よい刺激を与えるのではないかという考えでした。
そんなひとりごとでした。
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